「最終章」  さらなる飛躍に向けて ―ご挨拶とお知らせ―

 あじさいの葉に滴  まるで ここで夜を明かしたよう  たたずむ半袖には  朝の公園の冷気  ビニール傘でつつく水たまりは  寝不足の思考の波紋  どこから昨夜で どこから今日なのか  おかまいなしに輪を広げる  こうしている今も 同時に存在する すべての時間  物理学者の口車によれば  昨日の私は 誰も傷つ…
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「点から散らばる」 ― 晦日の情景 ―

 息の白も  溶けて   散じて   一瞬  みぞれの結晶も  爆ぜて   染みて   放擲  凍てつく木立は ひそやかに身震いし  雫を したたかに 膨らませ  さりげなく ふり落とす  凝縮という始まりから  放散という締めくくりへ  ビッグバンのあの日から  広がり続けた僕らの宙の  行き…

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「恋ナノカ。」

 風がしみるなら  目を閉じればいいのだろう  でもそれじゃ  まるで負けたみたいで  シャクじゃないか  フェンスの向こうの  土手の向こう  どうしたらきみを誘えるの  ススキとアワダチソウの深い森に  きみと埋もれたい昼休み  唇が荒れてるね  枯れ葉みたいに  カサコソ音を立てそうだ  僕の枯れ…
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「背を向ける」

 「素直になれ」なんて  軽々しく言うな  ずしりと重い 砂の心  その深みに おりていくことを  強要しないで  「一人で背負うな」なんて  よくも言えるな  憤りと虚無の泥流を  ただ 垂れ流せばいいのか  こらえる俺を 諭すなよ  午後の風は強く  埃色の西陽に 背を向ける  枯れ芝のグランドに も…
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ご報告  by <K>

前記事の「ブログ休止のお知らせ」では、多くの方から励ましのコメント・ブログ玉・メッセージをいただきました。 心よりお礼申し上げます。 あの後、多くの方のご協力により迷惑コメントのIPアドレスが絞り込まれ(複数ありました)、アドレスの解析を依頼した第三者によって、本人への警告通達が行…

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「お知らせとお詫び」 ブログ休止にこめた思い

いつもBeehiveにご訪問いただき、ありがとうございます。 皆さんからたくさんのコメントをいただき、ここは私たちメンバー三人の大好きな交流サロンとなっていました。 ときどきメンバー同士でケンカしたり、からかいあうという場面もありましたが、それもなかなか面白かったです。 ですが、このほど、Beehiveのメンバーの名前を騙って…

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「喪中欠礼」

 許しを乞うわけではありません  あなたを裏切ってまで  そいとげた  罪におわりはありません  ただ  残される者の慟哭が  かつてのあなたの痛みなら  わたしはあまりにも  ものを知らずにいたのです    お体に気をつけて    わたしはこれからも生きていきます    したたかに    淡々と …
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「七五三」

 紅ひく唇は柘榴の実  柔な頬は飴色の照り  幼い官能に秋の陽射しは凍て落ちる  熱帯びた指に力なく  「これは眠い手。」  呟く俺を見上げる君に哀惜     深くあれと願った     ごめんね     悲しみも怒りも深くと     俺は残酷だった 〈S〉 詠み人シバタのひと…
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「模試」

次の文章を読んで、以下の問いにこたえなさい  無関心も  理解したふりも 受けつけない  そんなあなたへの措置は  同情です  「かわいそうね」という一言で  あなたをすべてから解放しますから  それで勘弁してください 問1 あなたは誰に自分を見せたいのですか 問2 また、どのように見せたいのですか …
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「カフェにて」

「ここのクロワッサンが おいしいの  サクサクしてるんだけど  あんまり脂っぽくないのよね  あとでスイーツも食べるよね  えーうそ なんで  ぜんぜん太ってないじゃん  じゃあ 私もやめようかな  でもザクロのパンナコッタ 気になるよねー」 「サカタさんの転勤だけどさ  まだそうと決まったわけじゃないし  もし…
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「ゴールデン街の客」

 「場末」という言葉に胸踊るタイプ  たいして悩みはなくても  酔いのやるせなさにはちゃっかり溺れて  自作自演の夜は  お手軽な頽廃  ありがちな無頼  孤独を売りにするほど無邪気ではないけど  人知れず虚無を抱いてるつもりで  よくよく聞けば業界の部…
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「密会報告」

 僕らは二人で会った。  彼の不在の秋に。  備前に活けられたリンドウの青は  彼の燃えるような不在。  僕らは しめやかな灰となって  照れくさい孤独を見かわす。 「彼はそもそも 「私も彼もほんとうは 「彼も気づいているけど 「たぶん私たちにはどうにもできなくて  二人でいても  僕らは彼の炎に焙られ…
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「展望台の人質」

 シースルーのエレベーターが  もぎとるように 僕らを持ち上げてく  吹き抜けの窓は 銀色の走馬燈  下へ下へと 僕の脊髄を流れ去って  君の横顔にも 次々と反射光を投げる  見せてあげる Top of The World  展望台からこぼれ落ちた  グレイ…
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「えこひいき」

 風が  つめたかろう  かわってあげられないし  かわりたくもない  こんな断崖絶壁の  びゅうびゅう耳鳴りのする  歯の根も合わぬ突端で  あなたは覚悟という名の別人になって  足を踏ん張るその足場すら  ポロポロと崩れる泣き笑いに  どうして いつからそんな所に  自分をなじりもせずに 立っているの …
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「彼岸」

 逝く夏に  橋の袂の 曼珠紗華  欄干に置く 爪さきに  朱い残像 にじみゆき  「待つ」と 伝えるべきでした  たとえ あなたの重荷になっても <K> 詠み人<倉本>のひとりごと  既婚者の友人に長年の愛人がいて、その女性は僕の以前の同僚でもありまし…
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「誕生日」  <S>version

 誕生日に来ると 言ったから  今年は絶対来るって 言ったから  だから 僕は信じてる  さっきから 急に雨が降り出して  ずぶ濡れで来るかもしれないから  傘とタオルを持って 僕は立ってる  約束を破ったら バチが当たるって  先生が言ったから  だから 約束は破っちゃダメだよ  でも もし  どうして…
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「ハードボイルド オーバーワーキング」 ~乙女の危機~

 次の巡回警備は2時間後  また ひとりきりのデスクワーク  溶けたマスカラに 乾いた唇  真夜中の眼精疲労に  重力のGさえ きつくなる  そろそろ あいつがやってくる  いきなり消灯のスイッチオフ  パソコンの灯りだけを頼りに  気づけば 酒臭い息が耳元で  「ねえ 会議室に行こうよ」     そんなとき…
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「病室」

 香りの強い花を避けて  選んだトルコキキョウは 白  シーツも側卓も壁も白い病室で  ひそかな後悔を覚える  昔から僕は気の利かない男だったと  「窓ぎわだから気がまぎれるの」と  僕から夏空へと視線をそらす  入道雲までが真っ白で  世界はどこまでも気が利かない  貴方はここで  何かを失うつもりだから …
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「家出娘たち」

 安っぽい香水の むせ返るその小部屋に  集いし花たちは 紫煙をくゆらす  空虚を仰ぐ 力なき瞳孔は  黒々とした退廃に 縁取られて  しどけなき肩ひもの たよりなさはそのままに  自分をさしだす用意は いつでもできてる  「私に何をしてくれるの」  喧嘩腰の挑発に 僕はただ目を伏せるだけ  どこを出…
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「夕立ち」

 夕立ちのにおいが 連れてきた   しめった自覚症状  うぬぼれてないと うぬぼれていた  その陽気さは あとのまつり  ごうごうとたなびく雨雲は  口ほどにもない厭世感  ひきかえす気力はないけれど  嫌われる理由も うわの空     お互いに知ってることを     せーの、で 出しあってみようか     …
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「道案内」

 よく聞いてね 一度しか言わないよ  まっすぐ行って 突き当たりを右ね  最初の信号を渡ったら そのまままっすぐ  スタバと銀行の間を左折したら ちょっとひと休み  レンガ造りの女子寮があるから  少しだけなら覗くのもよし  その先 目印はないけど   なんだか曲がりたくなるっていう…
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「再会の夜」 ~ 待ちぼうけワイパー ~

 遅い  遅い遅い  遅すぎる  時を忘れるほどの  感動的な再会ってやつか  30分で戻る  確かそう言ったよな  でも俺が甘かった  30分もあれば  俺なら三発はキメられる  フロントグラスがぷつぷつと粟立って  道行く人が小走りになる  ワイパーを動かせば  小刻みな雑念がカンにさわる  戻っ…
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「花火」

 ドンッ  一瞬おなかに響いて  これはすごい衝撃だって  身構えておののく  でも次の瞬間には  パラパラと空に豆がまかれたよう  それはおなかの中ではなく  はるか頭上の遠いできごと  どんなことも そうね  私を離れてしまえば  こうしてみんなで眺められる  あれはきれい これは今イチって  そ…
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「宵待草」

    失って      謝る  俺は いつもそうだ     顔をあげると     あたりは 闇     夕暮れにすら まにあわず  薄橙の 花弁をむしる  そのはかなさが 責めたてるから  悔いて 生きろと  断罪するから 〈K〉 詠み人・倉本のひとりごと なん…
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「夏寺」 ―彼とのこと・外伝―

   玉砂利の堂裏を 竹箒で掻く  掃けども掃けども 妄念の落葉ふりやまず  鐘堂の陰にも 色罪の後塵散りあえぐ    山門の梢に 蝉が螺子巻けども  ただれた春の疼痛は   読経にあぶられ 己をさいなむ  空(くう)を欲して 欲する心を忌み  忌む我が身を 空に帰さんと念ず  ゆるゆると ずんずんと  巡る苦…
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「再会」 〈M〉version

「意味なんかない」 「意味がそんなに大事?」 「どんな意味なら満足?」  会いたいと言ったのはあなた  なぜときいた私に  たたみかけるあなたの言葉は  遠い日のしこりを  いま苦笑にかえる  いまも昔も  意味ばかり問う私は滑稽  そして  意味から逃げてばかりのあなたも  もう…
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コラム 「シバタより お礼とご報告」

皆様、こんにちは。 貴方の心の恋人・息子・弟・兄貴・ペット・奴隷のシバタです。 この度は、僕の入院のお知らせに際し、たくさんの励ましのコメントをいただき、ありがとうございます。 また、Beehiveメンバーの〈K〉さん、〈M〉さんはもちろん、皆様にはご心配をおかけしてしまい、心からお詫び申し上げます。 風邪と胃痛だと思ってま…

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「ツユクサの狂気」  (お知らせ付き)

 草いきれまで染める  見事な青  怜悧な諦観  逡巡のない実存  永遠を知るなら今  こよりのような茎の頂きで  そう 息をとめて 〈K〉 読み人・倉本のひとりごと 狂気と言うと、笑いキノコを食べて高笑いしながら奇矯な行動に走る。 みたいなイメージもありますが、静かで冷静な…
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「水島くんの家」

 水島くんの家に 泊まりに行った  冬休み 最後の日  宿題のひきうつし大会  水島くんちは すごい  お茶の時間とかいって  いい匂いの紅茶が出てきただけでなく  これは焼きたての リンゴのパイだそうだ  初めて食ったけど うまかった  風呂はチビたちと一緒じゃなく 一人で入れる  なんたるぜいたく  脱衣…
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「にぎやかな食卓」

 そろそろ 表が騒がしくなったから  ダンプカーのおじさんたちが 戻ってくる頃  わたしたちの仕事は  ビールを並べて おかずを並べて  テレビのチャンネルを 野球中継に  たばこ臭くて埃くさい作業着はそのままに  食堂の床板を どんどこ鳴らして  おじさんたちが 食卓を囲む  わたしたち子どもは  子どもたちだけ…
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